
こんばんわ。
豊田たいが皮フ科・形成外科・美容皮膚科院長の須藤大雅です。
前回の汗(多汗症)に続き、今回は脇の臭いのワキガ(腋臭症)に関してお話をしたいと思います。
ワキガとは、わきの下が特異な悪臭を放つことを言い、「腋臭症」と言います。欧米ではある程度生理現象として認識されていますが、わが国では、臭いや衣服の黄ばみなどにお悩みの方は潜在的に多いのではないかと考えられています。
日本人の10人に1人が脇の臭いを気にしていると言われています。
皮膚にはエクリン腺とアポクリン腺の2種類の汗腺(汗を出す器官)がありますが、腋臭の原因となるのは主に後者で、アポクリン腺の分泌亢進に起因します。
アポクリン腺はわきの下だけでなく、外耳道、乳輪、外陰部などに分布しています。その汗に含まれる成分が皮膚表面の常在菌に分解され臭いの原因になると言われています。
アポクリン腺の発達には遺伝、性ホルモンが関与していると言われています。
次に簡単なセルフチェック法の紹介です。
- 腋から強いにおいがする
- 家族、友人に「におう」と指摘されたことがある
- シャツの腋部分に黄色い汗ジミができる
- 両親のどちらかの脇がにおう
- 耳垢が湿っている
上記の項目に当てはまる場合は、腋臭症の可能性があります。セルフチェックはあくまで目安ですが、日常生活に支障がある場合は、早めに専門医の診察を受けることをおすすめします。
治療方法は、保存的治療と外科的治療(手術)に分けられます。
保存的治療は、腋毛の脱毛(医療レーザー脱毛)、制汗剤、抗菌薬入りの外用剤、ボトックス注射による発汗抑制があります。
外科的治療(手術)は、当院では剪除法(皮弁法)を行っています。
剪除法とは、わきに4~5cmほどの皮膚切開を1~2箇所行い、皮膚の下にあるアポクリン汗腺を直視下で見て切除してくる方法です。脇毛の生えている部分を参考にアポクリン汗腺の切除範囲を決めます。範囲が広いと2箇所必要なことがごく稀にありますが、基本的には1箇所ですみます。
なるべく傷が目立たないように一番深い脇のしわに一致させて切開をおこないます。
この方法の良いところは
①アポクリン汗腺を直接見ながら切除できること
②皮膚を栄養している血管を直接見て温存できること
③皮脂腺を直接見て温存できること
です。
腋臭症の方においてはアポクリン汗腺が発達しているので赤黒い袋のように目視することができます。これを切除してくるわけです。
また、皮膚を栄養している血管も直接見て温存できるので、皮膚壊死や色素沈着のリスクも減らせます。
皮脂腺は温存しないと皮膚が過剰に乾燥したり、嚢胞を作ることがあるので温存します。
吸引法などは傷が小さいというメリットがありますが、①〜③のメリットがないので僕は行いません。
脇の臭いでお困りの方は、一度当クリニックにご相談ください。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。