
こんばんわ。
豊田たいが皮フ科・形成外科・美容皮膚科院長の須藤大雅です。
7月3日に大塚製薬にて、外部講師としてお招きいただき、『アトピー性皮膚炎の診断と治療』について、講演を行いました。
現在アトピー性皮膚炎の完治は困難で、症状を抑えうまく付き合っていく、というのが
治療になります。
実際に当院でどのように診断し治療を行っているか等について講演してきました。
現地での参加が困難な方はZoomでの参加となりました。
今回は、当院でも多くの患者様に処方を行っているアトピー性皮膚炎の治療薬の1つ
、『モイゼルト軟膏』についてご紹介していこうと思います。
ここ5年でアトピー性皮膚炎に対する、非ステロイド性抗炎症薬(=ステロイドではないまたは、含まない抗炎症薬)が3つ(コレクチム軟膏・モイゼルト軟膏・ブイタマークリーム)も出て、日常生活に支障がない状態でコントロールできる患者様が増えました。
モイゼルト軟膏とは、PDE4阻害剤(ホスホジエステラーゼ4阻害剤)というもので、ステロイドとは異なる作用で炎症を抑える外用薬です。
外用すると種々の炎症性サイトカインの産生が抑制されます。
炎症性サイトカインは、アトピー性皮膚炎におけるアレルギー炎症、痒み、皮膚バリアー機能障害の成因に深く関わっているものです。
次にモイゼルト軟膏の適応と特徴について紹介します。
モイゼルト軟膏は、アトピー性皮膚炎の患者様で症状が軽症の方が適応になります。
その為、重症の時はきちんと症状に合わせたステロイドを塗布し、適切なタイミングで切り替えるということが重要になります。
また、3ヶ月から処方できるのも大きな特徴です。
今現在、生後早期に湿疹があった場合は、食物アレルギーのリスクが高くなると言われており、生後早期の湿疹の治療が重要になります。生後早期の湿疹をきちんと治療することが、その後のアレルギー性疾患の発生確率を下げることができるのではないか、と考えられています。そのため、生後3ヶ月から使用できるモイゼルトは、その時期の乳児の治療に重宝します。
臨床試験において、モイゼルト軟膏を52週外用継続し、重篤な副作用は見られなかったというのも大きな特徴です。モイゼルトはとても安全性が高い外用薬と言えます。
副作用には、稀に色素沈着、毛包炎が起こることがあります。
また、安全性が高い為、瞼にも塗布できるのも大きな特徴です。
今回は『モイゼルト軟膏』の紹介をさせていただきました。
アトピーでお困りの方は、一度当クリニックにご相談ください。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。